一見、好調な国内消費に変調の兆しが現れ始めた。全国の百貨店の売り上げは伸び続けているものの、スーパーでの売り上げはマイナスに転じている。
日本百貨店協会が8月23日に発表した7月の全国百貨店売上高は前年同月比5.5%増え、29カ月連続のプラスになった。ラグジュアリーブランドを中心としたバッグや財布等革小物、時計、美術・宝飾、化粧品などが好調だったと協会では分析しており、訪日外国人客によるインバウンド消費への依存度が高いことがわかる。
一方で、日本チェーンストア協会がまとめたスーパーの既存店売り上げも7月に1.0%減と17カ月ぶりのマイナスになった。また、7月で見ると、統計対象の店舗数は1年前に比べて1548店舗も減少しており、既存店ベースではない総店舗ベースの売上高は9.1%減と大幅に減っている。国内消費が不振であることの現れである。
岸田総理は賃上げを強調し、実際に実施されたところも多かったが、それでも実質賃金は、6月に27カ月ぶりに1.1%増とプラスに転じたが、これはボーナス増の影響が大きく、給与は1.2%減と29カ月連続のマイナスが続いている。実質賃金がなかなか本格的にプラスにならない中では、消費が盛り上がってこない。
さらに国内消費の不振に大きくかかわっているのが年金のマクロ経済スライドである。7000万人を超える年金受給者については賃金上昇分と物価上昇分のいずれか低い金額分が上昇することになっているが、今年はその数値が3.1%であり、そこからマクロ経済スライドで0.4%が減額され2.7%の上昇となった。
今年マスコミ等で報道されている賃上げ率と比較し(基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.10%)3.1%はかなり少ないがそこからまだ0.4%も減額されている。
これでは年金生活者は消費を切り詰めざるを得ない。7000万人を超える年金生活者が生活を切り詰めざるを得ないようでは国内消費が伸びるはずもない。
年々年金が減額され年金生活者の将来不安は増すばかりで、2000万円を超える預金がある層でも安心して消費することがてできないでいる。
マクロ経済スライドを廃止し、年金生活者から将来の生活不安ょ払拭するだけでも大きな消費拡大効果があり、0.4%のマクロ経済スライドよりよほど経済や財政に与える良い効果は大きくなる。
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