農林中金が1兆5千億円もの最終赤字になると言われている。欧米の金利上昇によって価格が下落した米国債や欧州債を10兆円規模で売却し、損失を集中的に処理することによるらしい。
しかし、米国債で運用されていたと考えれば普通ではこんなに損はでないはずである。金利上昇で米国債がどれだけ下がっているかというと、最も下がっているのは残存期間6年から7年程度の米国債であり、現時点では額面の80%から86%程度で取引されている。これだけ見れば金利上昇で米国債で損失を被ったというのは事実のように見える。
しかし、為替レートを考えると残存6年から7年の米国債が発行された時点の為替相場し1ドル111円から115円である。現在の為替水準から考えると米国債を売却しても損失が発生するはずはないのである。
損失か発生したとすれば、それは運用担当者の失敗によるものであり、金利上昇のせいではない。おそらく米国債を買ってそのままもっていのではなく、為替ヘッジをしていたと思われる。
金利上昇と円安により為替ヘッジコストが上昇し逆ザヤになったというのが本当のところだろう。為替ヘッジの方法はいろいろあるが米債を持つと同時にドル建ての借入金を発生させヘッジする方法が用いられたのではないかと推定するが、それを解除するタイミングを誤って損失を拡大させたといのが実情ではないだろうか。
結局のところ農林中金の能力不足による運用失敗のツケは全国の農協、ひいては全国の農民が支払うことになる。
リーマンショックの時も大きな損失を被ったように農林中金の運用能力は決して高いものではない。農協の資金も農林中金に運用させるのではなく、いくつかの運用会社を選択し委託する形にした方がよほど低コストで安全に運用できるだろう。
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