日本生産性本部によると、日本の就業者1人当たり付加価値は、2022年時点で8万5329ドルであり、経済協OECD加盟38カ国中31位に落ち込んでいる。既に韓国にも負けている体たらくである。
日本人個々の能力がヨーロッパや韓国に劣っているとは日本人であれば誰も思っていないが、数字は厳しい現実を表している。
本当に個々の能力では劣っていないとしたら何が日本の生産性を低くしているのだろうか。いろんな説が言われているが一つは日本企業の体質である。
多くの日本企業は、高度経済成長期以来「いかに良いモノをより安く大量に供給できるか」を競いながら成長してきた。過去の松下幸之助の水道哲学などはその代表である。
しかし、それには常に人口が増加し続けるということが前提として存在した。だが、少子高齢化の進行で国内市場に対する成長期待が著しく低下したのである。成長期待の低下が日本全体を覆い尽くし、企業は製造設備などのモノへの投資だけでなく、日本国内でのヒトへの投資も抑え込み、企業の投資を起点とする将来に向けた市場の創出に自己抑制がかかり、ヒト・モノ・カネの動きが著しく停滞してしまった。
その結果、企業も個人も経済活動を委縮させてしまい、新たな市場やこれまでにない付加価値を創出するようなイノベーションは起こりづらくなっていった。
人口減少を前提とするなら、良いモノをより安く、多くの人に売る戦略から良いモノをより高く、繰り返し使ってくれる人に売る方向に戦略変更すべきであったが、日本企業はそれができなかった。
良いものを安く売るのであれば、既存の製造工程の合理化や仕入先への値下交渉で対応できるが、高く売るためには付加価値の高い新商品の開発やマーケティングの改革が必要となる。
そしてこれらは経営者の役割である。日本企業が付加価値の高い商品を開発し高く売ることができないのは日本企業の経営層の無能さに原因がある。
減点主義で冒険せずミスの少ない者がトップに座るような日本的な人事を継続している限り、従業員個々の能力が如何に優秀でも日本企業の付加価値は低いままである。
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