日本社会では国民は高齢になるまでは働き、高齢になれば年金で生活することが想定されている。しかし、この前提が大きく揺らぎつつある。
少子高齢化による年金危機が強調され、マクロ経済スライドで年金額を毎年減額するだけでなく、高齢者の定義を繰り下げ年金の受給開始年齢を遅らせようとしている。
定年を延長し、できるだけ長く働かせることで年金開始年齢を遅らせ、マクロ経済スライドで年金額を減額することで年金財政を改善しようとするものである。さらに厚生年金対象を非正規にまで拡大すれば、年金財政が破綻するという心配はなくなりそうである。
問題は年金で老後生活を支えることができなくなるということである。デフレが終了し円安もあり物価は上昇し続けている。賃上げが言われているが年金生活者はマクロ経済スライドの影響でむしろ実質支給額は減少しており、購買力は年々低下し生活が苦しくなっている。
現在、年金を受給している高齢者は減額されてもなんとか生活できるかもしれないが、問題なのは今後年金生活に入る層である。
今の40代や50代が年金生活者になる頃には支給される年金ではおそらく生活することは不可能だろう。一方で高齢者の働き口が十分にあるかというと今の日本社会では難しい。
日本には根強い年齢差別が存在しており、高齢者が能力に見合う仕事を得るとは難しい。掃除とかガードマン、若者に使われる飲食チェーンでのアルバイト等、あまり労働意欲を感じさせない仕事に食べるためにつかざるをえないという状況に追い詰められるだろう。
生活保護はハードルが高い上に、多くの高齢者が申請すれば法律改正してでも生活保護対象者は削減されることになることは間違いない。
高齢者は家があっても生活が難しい年金額しか得られず、賃貸住宅であれば生活することは不可能である。しかも選り好みしなくても仕事が見つかりにくい状況に追い込まれた時、治安がいいとされてきた日本社会はその安定性を維持できるだろうか。
老後の新しい生活パターンを考え提供できない限り、安全な国という日本の神話は維持できなくなるだろう。
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>日本社会では国民は高齢になるまでは働き、高齢になれば年金で生活することが想定されている。しかし、この前提が大きく揺らぎつつある。
内閣府は、年金将来見通しの経済前提のシナリオにゼロ成長を追加しました。
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(1) シナリオについては、令和6年4月2日の経済財政諮問会議において、内閣府より 2060 年度までのマクロ経済・財政・社会保障の試算(以下「長期推計」)が示されたことを踏まえ、長期推計で示された3つのシナリオに相当する「成長実現ケース」、「長期安定ケース」、「現状投影ケース」に、最も低い経済成長を仮定するケースとして独立行政法人労働政策研究・研修機構の労働力需給推計(令和6年3月11日雇用政策研究会提出。以下「労働力需給推計」)の一人当たりゼロ成長・労働参加現状ケースに相当する「1人当たりゼロ成長ケース」を加えた4ケースを設定する。
令和6年財政検証の経済前提について(案)
https://www.mhlw.go.jp/content/12506000/001243883.pdf
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資本主義経済による国家運営は永遠の経済成長というあり得ない前提で成り立っており、年金制度も同様の前提条件で成り立っています。
しかし経済成長は鈍化し、人口減少も進んでいます。
永遠の経済成長という前提条件が崩壊してしまったのです。