現行の20歳から60歳までの納付期間を65歳まで5年間延長する案がある。これについて、約束違反とか事実上の隠れた増税などの批判が出ている。
その目的は「削減しやすいように保険料と給付を増やす」ための準備である。今まではデフレの為発動されなかったマクロ経済スライドがインフレにより今後本格的に発動される。その結果実質的な年金給付が毎年削減されることになることに備え、あらかじめ金額の少ない国民年金の給付額を積み増す必要があるからである。
公的年金の本来の機能は物価上昇率に応じて給付額をスライドさせ、生活の実質的価値を維持することにあるが、日本の年金制度はマクロ経済スライドの実施によりその本来の機能が損なわれてしまっている。
現状でも日本の年金の給付水準は世界と比較して低い。政府は年金給付水準は、厚生年金について平均賃金の5割程度としているが、嘘である。専業主婦の基礎年金を合わせた2人分の年金と1人の平均賃金を比較しており、1人分の年金と賃金を比較する国際基準と比べて数字が水増しされている。
OECDの年金比較統計では、米国の51%やドイツの55%、OECD平均の61%と比べた日本の比率は39%と、著しく低い水準にある。
このように政府の年金に対する発言は嘘ばかりであり、マクロ経済スライドで今後さらに引き下げていくという老後破綻一直線の制度設計となっているが、口先でそれをごまかし続けている。
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