生命保険に加入している人は、保険料を所得税・住民税から減税する生命保険料控除がある。2024年度税制改正は「子育て支援」としてその拡充を盛り込んだ。生命保険料控除の拡大が何故子育て支援に繋がるのか疑問に思う人は多いだろう。
一方で24年度与党税制改正大綱は、高校生世代の子の扶養控除について、所得税は年38万円から25万円に、住民税は年33万円から12万円に縮小する。
所得控除の枠組みでみれば、納税者すべてに適用する扶養控除を縮小し、生保加入者に限定する生命保険料控除を拡充することになる。子育て支援と言うなら、むしろこちらの扶養控除の縮小を止める方が余程説得力がある。
生命保険料控除は、生命保険料を実質的に税で補塡し保険料が節税になることで、生命保険業界への利益誘導的な面がある。監督官庁の金融庁は、その意向を受け、15年度税制改正から毎年、控除の拡充を要望してきた。
自民党型の利権政治ではコロナ対策であれ、少子化対策であれ、何か口実があれば利権団体への利益誘導が行われる。財政悪化の大きな原因の一つとしてこのような利権団体への利益誘導が常態的に行われていることがあり、そのツケは増税や社会保障負担の増加という形で国民が支払わされている。
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