政府が旗を振り大企業中心に景気の良い賃上げの情報が流れている。勿論中小企業や非正規労働者には5%を超えるような賃上げは難しいだろうが、いくばくかの賃上げが実現することは間違いないだろう。
政府が賃上げを推奨するのは、賃上げの実現によって、家計が潤い消費が増え、お店や企業が適切な価格転嫁ができるようになり、企業の利益増、投資拡大にもつながり、さらなる賃上げが実現する。という成長と賃金の好循環によりデフレを脱却し日本経済を活性化させる為である。
ここで忘れ去られているのが年金生活者である。年金受給者は7700万人に達し、その4割の約3000万人が年金だけで生活し、消費支出に占める年金生活者の割合は39%に達している。
ところが、今年度もマクロ経済スライドが実施されることで、年金生活者の実質所得は今年も減額されることになる。厚生年金は、この10年で4%減、20年で16%ほど減少しており、これが失われた30年と言われる日本経済低迷の一因でもあった。
年金が頼りの高齢者にとって、物価高は脅威。総務省が発表した2023年平均の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年比3.0%上昇。特に上昇が目立ったのが生鮮食品で8.0%も増加している。
年金が物価に比例して上昇しない現状では、高齢者の実質消費が減少するのは避けられず、個人消費の4割を占める年金生活者の消費が減れば、如何に賃上げをしたところで経済の浮揚は期待できない。
マクロ経済スライドでわずかな金額を節約するより、経済成長を勢いづかせた方が結果的に財政面でもプラスになる。
経済の足を引っ張り国民生活を圧迫するマクロ経済スライドは直ちに廃止すべきである。
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国内総生産(GDP」=国内総所得(GDI)=国内総支出(GDE)、つまり、生産=分配=支出を三面等価の原則と言います。
しかし、これははあくまでも統計上の事後処理なのです。
確かに賃上げによって支出が増える可能性はあります。すると、生産も分配も増えますが、お金は支出ではなく貯蓄に回ってしまう可能性もあります。
この貯蓄に回ったお金は将来的に支出するであろうとして処理するのです。ですから三面等価の原則は成り立つのです。
日本国の実体経済は需要の飽和に到達しており、投資先が無いのです。
ですから、賃上げしたとしても支出は大きく増えることは無いでしょう。
飽和を解消しない限り、いくらお金を増やしても実体経済の中では動かないのです。