2023年度の公的年金の支給が15日から始まる。物価高や賃金上昇を背景に平均的な世帯が受け取る月額は厚生年金で前年度比4889円増える。年金支給額を抑制する措置が3年ぶりに発動され、増加幅は約1200円目減りし1.9%にとどまっている。
3%以上の大幅な賃上げが成立した大企業でさえ物価上昇の影響で実質賃金は目減りになって生活は苦しくなっている。
夫婦二人で月額22万円に達しない年金生活者にとってマクロ経済スライドの実施による減額は生活を苦しくするだけでなく、将来への不安を増加させるばかりである。
多くの輸出産業を中国や韓国等のアジア諸国に奪われた日本にとって、経済を成長させる原動力となりうるのは個人消費だけである。
株式の上昇により、その恩恵を得た層の消費額は堅調であるが、最大の消費余力を持つのは多額の金融資産を保有する高齢者層である。
しかし、将来不安に怯える高齢者層はその金融資産を低金利の銀行等で眠らせているだけであり、経済成長につながる消費には使用されていない。
彼らの生活のよりどころである年金をマクロ経済スライドの影響を受けず、物価上昇に対応できる昔の制度に戻さない限り、日本に残された唯一の資源である金融資産は有効活用できず、日本経済も衰退傾向を脱することはできない。
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