結婚により結成される家庭は元々家という制度を存続させることを目的としていた。家制度がその実態を失った後も、つい最近まで家庭は男女役割分担しながら生活する場として機能していた。
すなわち男は外で働き生活費を稼ぎ、妻は家で子育てし夫が外で働くように支える、というものである。
これは家庭というものが成立する上で最も合理的な役割分担であることは否定できない。男は家庭を妻に任せ心置きなく外で働くことができるし、女性は生活を気にすることなく子育てすることができる。
しかし、現在は女性を低賃金労働者として活用したい企業の都合と、家庭に閉じこもることを良しとしない女性の意識変革により、男女の役割分担を是とする考えは否定され、男女は平等であるべきであるという考えが主流である。また政府も労働力不足を背景に女性に対して労働者としての役割を期待している。
男女共外で働き、家では協力して家事や子育てをするというのが、現在の家庭の理想形である。しかし、この理想形には隠されていることがある。
それは女性を補助的労働者と位置付けていることである。男女が完全に平等に働くなら、男女が同じ場所に住み働ける保証は何もない。
男女同居を前提に共働きするということは、大抵の場合女性の方が補助的な仕事につくことを前提としている。女性も社会的責任のある高度な仕事に従事していれば、当然転勤は避けられず転勤すれば夫と同じ家で住むことは不可能である。
男女の役割分担を否定し、完全な男女平等社会が実現するならば、そこに男女が同居する家庭というものは存在しえない。
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