毎日の坂井隆之記者が「思考停止が生んだ空白の7年」と黒田日銀総裁の異次元緩和を批判している。しかし、これはピントがずれている。
彼は、物価上昇率は14年後半ごろから失速し、16年1月にマイナス金利、同年9月には長期金利を0%程度に抑える政策も打ち出したが、物価を上向かせることはできなかった。ことを理由に、異次元緩和の限界が見えたと断定し、黒田日銀総裁が政策転換をしなかったと批判している。
しかし、坂井記者自身が書いているように、物価上昇率が失速した2014年に何があったかというと消費税を5%から8%に引き上げている。
結局のところ消費税を引き上げ国民の可処分所得が減少した爲に、大幅な金融緩和にもかかわらず個人消費が縮小し物価が上がらなくなったというのが実際のところである。
その意味で金融緩和が限界に達したと即断するのは明らかに間違いである。ここで金融緩和を止めていれば物価だけでなく景気も失速した可能性が高い。
せっかくの異次元緩和で景気改善による物価上昇目標が達成できたところを、消費税の上昇で帳消しにしてしまい異次元緩和の弊害だけが残ったというのが真実である。
消費税の10%への上昇などは完全にダメ押しである。確かに現時点では異次元金融緩和の弊害だけが残ったが、批判すべきは黒田総裁の異次元金融緩和ではなく、その効果を帳消しにした財務省主導の消費税増税であることを明確にしなければならない。
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