年金の支給開始時期の延長で始まった65歳までの継続雇用制度(再雇用)に問題を抱えている企業は少なくない。
これが原因で70歳までの就業機会の確保を努力義務とする「改正高齢法」が施行されて1年が経過したが対応済みの企業は21.5%と低い。
しかもその実態は公的年金支給の空白期間を埋めるために制度化された経緯があり、企業は戦力としての活用よりも福祉的雇用の意味合いが強かった。
その結果、継続雇用された定年後再雇用者の約9割が定年前より年収が下がり、全体平均で年収が44.3%も下がっている。さらに50%程度下がった人は22.5%、50%以下に下がった人は27.6%であり、約5割が年収が半分以下になっている。また、仕事内容も経験が活かされるものではなく、現役社員のじゃまにならない程度の補助作業に従事しているのが一般的である。また能力の有無にかかわらず一定年齢になれば強制的に実施される役職定年制度も維持されている。
その結果、高齢社員のモチベーションの低下を引き起こしている。働く意欲が低い高齢社員が増えれば培った能力の発揮や後進の指導どころか職場に悪影響を与え、企業の生産性にとってもマイナスとなっている。
シニア社員の不活性化が職場の雰囲気を悪化させ、現役社員の生産性にも影を落とし、ひいては企業全体の発展を阻害する結果となっている。
人事考課制度を見直し、高齢社員についても能力にふさわしい仕事を任せる体制を構築できない限り、高齢者の継続雇用(これは日本には必要だが)が企業競争力をますます低下させてしまう。
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