安倍氏の最大の功績は「経済再生なくして財政健全化なし」という当然の事実を政治方針として定着させたことにある。
それ以前は財務省の意向を受け、なにがなんでも財政健全化優先と経済を無視し増税や国民負担の増加を続けてきた。その結果が30年に及ぶ経済停滞をもたらした。これを否定し経済生成優先に舵をきったことは安倍氏最大の功績といって間違いない。
実際の経済政策は低金利政策や財政出動により一応の成功を収めたが、肝心の産業構造の改革や規制緩和は十分に行われず十分な日本経済の発展に結びつくような構造改革はできなかった。
さらに財政健全派との妥協から二回の消費税増税を実施したことから、せっかくのアベノミクスも誰の目にもわかるような十分な経済成長効果をもたらさなかった。安倍氏にとっては痛恨の失敗である。
次の功績は、官僚が握ってたきた官僚の人事権を官邸に取り戻したことである。官僚の官邸への忖度というデメリットもあったが、国民から選ばれた政治家が官僚人事に関与できず、官僚が自分たちの都合で人事を行い、官僚利権を脅かすような政策であれば政治家の意向を無視することもある、というようなバカな制度が一層されたことは大きな前進である。
安倍氏の批判されるべきものとしては、憲法の拡大解釈による憲法の形骸化がある。憲法解釈の変更により安保関連法を成立させたが、これにより憲法条文と憲法解釈の差が拡大し、誰が読んでも同じ意味に解釈でき、政府の行動を制約し監視するという憲法の役割が果たせなくなった。
秘密保護法の在り方も批判されるべきである。この法律では省庁が官僚の判断で秘密と判断したものを国民が知りチェックする体制が確立されていない。これでは官僚による独善的な政策を防げない。
また、省庁が官邸の意思で記録を改ざんしたり廃棄する等の悪しき事例を作ったのも大きな罪である。いかなるものであれ政治的判断の意思決定過程はそのまま残し、将来的にその判断の是非をチェックできるようにすべきであった。
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