賃金が下がったからと政府は今年の年金を0.4%減額することを決定したが、これは完全な詐欺である。
名目手取り賃金変動率が0.4%下がり、物価が0.2%下がったということで、今年度から年金支給額は0.4%引き下げられるが、全く国民の実感とは一致しない。安倍政権の賃上げ要請の結果賃金は上がっているはずだというのが国民の感覚であり、これとは大いに異なる。また物価についても前年は下がるどころか上がっているというのが実感である。
しかし、政府の計算ではそうはならない、やたら複雑な仕組みで年金額を可能な限り減額するようにしている。
賃金基準については単純に前年又は前前年の名目賃金の増減で見れば国民にもわかりやすいのだが、国民に分かりやすいと困るのでやたら複雑になっている。
名目手取り賃金変動率というのが年金を最低する場合の基準とされているが、これが曲者である。名目手取り賃金変動率とは2年度前から4年度前までの3年度平均実質賃金変動率に前年の物価変動率と可処分所得割合変化率を乗じて計算される。
さらに実質賃金変動率は賃金の変動率÷物価の変動率で計算されており、これだと賃金が上がっても物価が上昇すれば年金額は減額される方向に働く。物価が急上昇し、それに対応して賃金が上がっていても、年金は減額されるという仕組みである。前年の物価変動率を乗じたとしても過去の賃金との格差は縮まらない。
さらに物価には日常生活の実感とかけはなれたものが含まれており、賃金についても女性労働者の増加や非常勤労働しゃの増加で低く表れる傾向があり、年金額は常に一般サラリーマンの賃金動向より低く裁定されるようになっている。
これにマクロ経済スライドが加わることで、実質的な年金は年々下落することになり、もはや勤労者の老後生活を支えるものとしては機能しなくなってきている。
年金財政の悪化を防ぐという名目で年金制度そのものの意義を破壊しているのが今の自公政権である。
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