昔の日本軍は兵隊は優秀だが指揮官の能力が低いと言われてきた。第二次世界大戦での敗北を振り返ると、それが事実であったことがわかる。
現在においてもその傾向は何ら変わっていない。バブル崩壊後30年間も日本経済は低迷し、世界に占める日本企業の地位は低下し続けたが、その過程で明らかになったのが、日本を代表する大企業の経営者と、エリートと言われる中央官庁の官僚の無能さである。
同じような危機に直面した欧米各国の政府や企業の対応と比較し、日本の官庁や大企業の対応の遅さ、お粗末さは弁解の余地はない。
官僚は日本の衰退に効果的な処方箋を提示することができず、企業は利益をため込むばかりでリスクを冒してまで積極的な投資をしようとせず、ずるずると世界のライバルに抜かれていった。
何故、日本のエリートと言われるキャリア官僚や大企業経営者はそんなに無能なのか。
それは、日本のエリート層がその組織の中でしか仕事をしたことない人、特定の部門でしか働いたことが
ない人ばかりで構成されているからである。
1つの組織や部門しか知らない人は、どんなに優秀な人であっても視野狭窄に落ち入りやすい。
生え抜きの幹部が部門において権力を掌握すると、過去を踏襲することによって、その権力を維持しようと
し、革新的な大改革を実施し、その部門を変えるという行動は起きにくい。
現在のように政治的にも経済的にも不確定な時代においては、大胆且つすばやい決断と行動が必要とされている。このような時代の指導者としては、欧米型の多くの組織や仕事を経験した人材の方が適している。
日本においても、キャリア官僚の出世コースや企業経営者の任方法を改めない限り、これからも常に海外の
後塵を拝しつづけることになる。
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