岸田政権は経済対策に加え、補助金によって賃上げ誘導して経済を浮上させようとしている。しかし、現役世代の賃上げが成功したとしても日本経済の浮揚には不十分である。
理由は簡単で日本では高齢者が人口の29%を占め、高齢者の貧困率が年々増加しているからである。
厚生労働省「被保護者調査(2019年度確定値)」によると、生活保護を受けている人のうち55.1%が高齢者世帯であり、その数はおよそ89万世帯に達している。
生活保護を受けていなければ貧困でないかというと、そうではない。高齢者世帯の所得階層別分布は150万円から200万円未満が最も多く、年収150万円以下に絞ると23.5%もいる。
でも高齢者は多額の預金をもっており、それを取り崩して生活にあてているから貧困ではないのでは考える若者は多い。しかし、二人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯で、貯蓄現在高が300万円未満と答えたのは15.4%もある。生活保護受給額の例(年間143万5,440円)を高齢夫婦二人が1年間ギリギリ生活できる金額と捉えれば、300万円の貯蓄は、収入がなければ2年間で消えてしまう。
貧困対策としてはこの層にも手を差し伸べる必要がある。
一方、貯蓄2000万円以上の高齢者層も35%程度存在する。彼らについては消費拡大により経済活性化に貢献できる余裕がある。
しかし、マクロ経済スライド等による年金減額や社会保障負担の増加により、余裕のある高齢者も将来不安を増幅させており、消費に金を回す余裕がない。
高齢者の貧困問題を解決し、年金や社会保障の改悪がもう、ないことを確信させ、政府が高齢者の信頼を取り戻さない限り、現役世代の賃上げに成功したとしても経済を立て直すことはできない。
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