現代ビジネスで鷲尾 香一というジャーナリストが日本は本当に「財政破綻」しない…?現実味を帯びる「金利上昇」で待ち受ける最悪のシナリオという記事を書いているが、これなどは明らかに思慮が足りていない。
米国の利上げにより、日米の金利差が広がるため、資金は金利の高いドルに流れることになる。つまり、円安・ドル高に動くわけだと書いているが、これは間違いではない。しかし、円安になれば原材料費や燃料費が上がるから円安だから輸出が増加するというのは早計だと書いているが、これは間違いである。確かに原材料燃料費は上がるが、原価比率を考えれば為替下落部分がそれらの上昇を上回るので価格競争力はプラスになる。
そもそもアメリカが金利を上げ円安になり、日本が大きな悪影響を被るにはアメリカ金利の大幅な引き上げが必要であり、現時点ではそこまでの金利高がアメリカで起こる可能性は少ない。
また、日本でも金利の引き上げが行われれば、企業の借入金利の上昇を呼び、企業活動に影響が出るし、住宅ローン金利の引き上げなど国民生活に直撃する。と書いているが、どの程度の金利上昇を想定しているのか書かれていないが仮に2%金利上昇があれば家計の金利収入が38兆円増加する。これは個人消費の12.9%にも達する。これが消費に回れば経済にとって大きなプラスとなる。
また、金利上昇で国債の利回りも上昇するので、国債発行の負担が大きくなる。借換債を減少せざるを得なくなれば、国債の償還を進める必要があり、財政は強烈な緊縮政策を行う必要に迫られる。
としているが、金利上昇前に国債の償還期間を延ばすことで回避可能であるし、従来通りの日銀引き受けで対応すれば、金利のコントロールは十分可能である。
国の資産はすぐには現金化できないというが、国の負債もすぐに支払う必要性は全くない。資産だけはすぐに資金化できないからと勘定にいれないで、負債だけを勘定に入れて騒ぐのはナンセンスである。
解消策も無いのに危機感を煽り、増税と国民負担の増加を続けてきたことで日本は30年の経済停滞を招いた。
最終的に現在の状況を解消するのは経済の成長以外にはありえない。目先の財政改善ではなく、経済成長を優先することが結局のところ問題解決の唯一の道である。
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