中国の一つ目の失敗は、国力がアメリカを上回る前に世界にその牙を明らかにしたことである。南シナ海での強引な覇権戦略や香港民主化の弾圧等で、中国は欧州やアメリカの自由と民主主義を標榜する国家とは明らかに異質であり、これらの国々にとってかってのソ連のような脅威であることを印象付けてしまった。
国力がアメリカを上回るレベルにまで達していれば、これらの国々を敵に回しても覇権を追及することが可能であったが、現段階で脅威と認識されてしまったことで、政治経済の両面で欧米各国からの掣肘を受けることになり、今までのように用意に成長することは難しくなった。
二つ目の失敗は自国のIT産業に対する締め付け強化である。中国共産党がソビエト共産党より優れている点は経済発展の成功にあった。
昔は独裁的な政治は経済にはマイナスであると考えられていたが、中国の成功によって民主主義より思い切ったことのできる独裁政治の方が経済発展に有効ではないかと考えられるに至っていた。
迅速な意思決定と特定分野への思い切った投資という点で独裁国家は民主主義国家よりすぐれている。指導部が有能でさえあれば、独裁国家はより急速に経済を発展させることができる。
過去、独裁国家が経済発展の面で民主主義国家に負けたのは、政府の誤った過度な干渉が経済発展の障害になったからである。中国は政治面では強固な独裁制を維持しながら、経済面では日本などの民主主義国家よりはるかに自由な経済活動を容認してきた。これが中国発展の一つの原動力であった。
しかし、今習近平はIT企業を締め付けることで従来の自由な経済活動を放棄した。これからは中国経済は今までのような発展を示すことは難しくなり、アメリカをしのぐ覇権国家になる道は閉ざされたと考えられる。
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