昭和の日本は、学校を卒業したら大部分は正社員として雇用され、最初に入社した企業で真面目に働いていれば、日本経済の発展と年功序列に守られ、定年まで生活の心配をすることはなかった。また、定年後は退職金と年金で十分に生活することができた。
定期預金の金利が5%前後と高かったため、2000万円定期預金があれば、何もしなくても100万円の利息が入り、いまよりはるかに高水準の年金と併せれば、定年退職後無職でも十分に生活できた。
それが、高度成長後バブル崩壊までの平均的な人生のパターンであり、そこで要求されたのは与えられた職場でコツコツ真面目に働くことであった。
しかし、バブル崩壊後長く続いて自民党の失政の結果日本社会は大きく変質してしまった。学校を無事卒業しても、気の利いた者でないと就職戦争を勝ち抜けず、安定した企業の正社員の椅子を得るのはごくめぐまれた一部の者だけとなった。しかも、安定していたはずの企業に勤めていても失業者になる可能性は以前より格段に高まった。
無事に定年まで勤めても、退職金の額は減少傾向にあり、現在の低金利下では退職金の利息は微々たるものでありとても生活の足しにはならない。また、年金も年々減額され支給時期も先送りされており、それで生涯安心というには程遠い。一生死ぬまで働いて収入を得ないと生活することは
難しい。
昔のように真面目にコツコツ働いていれば生涯安心という社会ではなくなった。企業にこびへつらい70歳ま
で雇用してもらいことは、今後の老後の死活問題となりつつある。
正社員になることに失敗し非正規労働者としての道を選択せざるをえなかった者にとっては老後はとても厳
しいことになる。非正規では多額の貯金を準備することは難しいし、退職金はない。さらに年金も生活を支えるほどの額ではない。さらに年をとると非正規の職も得るのが難しい。
老後は生活保護に頼るしか道はなくなるが、生活保護については国家はこれ以上の拡大を望んでおらず、制
限はますます厳しいものになる。
今の日本では個人がそれぞれ自分の才能を金儲けに活かすことが人生を無事に全うするための最低限の条件になりつつある。
これからの日本人はアメリカ型の厳しい社会での老後を覚悟しなければならない。それが自民党政権の方針であり、自民党政治を選択した国民の総意である。
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