梶山経済産業相は先の気候変動サミットで菅義偉首相が打ち出した新しい温室効果ガス排出削減目標(2030年度までに13年度比46%削減)に触れ、「首相はさらに50%に向けて挑戦を続ける。この達成に向け、将来にわたって原子力を持続的に活用していく」と訴えた。
脱炭素を口実に原子力発電を再稼働し続けるという方針を示したものである。しかし、原子力発電には廃棄物の最終処理場が無いという致命的な欠点がある。入口はあっても出口が無く放射能廃棄物が増加し続けれは正に将来世代にとっての大きな負債となる。
さらに再稼働を計画されている原発は既に40年以上を経過したものである。運転期間は原則40年と決められていたが、すべての原発が40年で廃炉になると原発比率は15%程度にとどまる爲、計画達成には例外であるはずの40年超原発の稼働が事実上不可欠となっている。40年経過後も原発が安全か否かよりも目標達成の爲の必要性が重視される形になっており、これはリスクを多く見積もると予算が増大する為リスクを低めに見積もって津波被害にあったのと同様の思考回路である。
東北大震災での原子力事故や東電のお粗末な原子炉管理から考えても現在の原子力発電所は完璧にはほど遠く、4年以上での稼働で事故か発生しないとは誰も断言できない。
一方、日本には地熱発電の適地がたくさんあるにもかかわらず地熱発電を発電の中核とする方針は出てこない。地熱発電を行うためには、地下1,500〜3,000mに存在する高温蒸気を掘り当てる必要があるため、開発にかかるリスクやコストが非常に高いというのが地熱発電を推奨してこなかった理由になっているが、実際のところは開発適地の大半が国立公園や国定公園になっており開発制限があることや地元の反対等が開発できない原因となっている。
マグマ発電等直接地熱を利用する方法も可能であり、発電資源として安定性や潜在資源量も多く、日本が本気で目標達成するつもりなら、地熱発電を再生可能エネルギーの主力として開発する価値は十分ある。
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