日本社会で不平等が拡大している。不平等の問題の本質は貧困層の増加にある。国民が定職を持ち、住居と日常生活を維持し、子供に必要な教育を与えることのできるような中流生活を維持できているのなら、一部の大金持ちが存在しても何ら問題はない。
しかし、アメリカやEU、さらに日本でも中流層は解体され、日々の生活にも事欠く貧困層に転落する者が増加しつつある。
学校を出ても職が無い、職があっても非正規の職にしかつけず、働いても食べるだけで結婚もできない。結婚でき子供ができても十分な教育を受けさせることができず、子供もまた親と同じ貧困な人生をおくる。
このような貧困層の再生産と固定化、これこそが問題である。
そもそも民主主義は生まれながらの人間の平等を理想かつ前提として成立する制度である。生まれながらに大きな格差があり、その格差が一生埋まらないことが常態化すれば民主主義の前提が崩れてしまう。
また、絶望した貧困層の増加は社会の不安定要因であり、大量の貧困層が存在する社会では治安の悪化は避けられない。
中流層の多い安定した社会と、貧困層の多い不安定な社会のどちらが住みやすいかといえば、答えは明らかである。
貧困層の増加と定着化は民主主義社会そのものを破壊しかねないほど危険なリスク要因であり、貧困層の生活向上は最優先事項である。
若者や貧困層に対し安定した生活できる収入を得られる職を提供することが第一義的な政策であるが、それと並行して極端にならない累進課税を採用しその財源で貧困層の貧困脱出を支援する政策を充実することが不可欠である。
安定した平和な社会が国民の幸福の大前提であることは否定できない事実である。
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