2021年度の年金額が0.1%減額されるらしい。賃金が低下し物価が下落したというのがその理由である。
元々年金を物価連動させるのはインフレに備えるためであり、デフレで減額することは全く想定されていなかったが、少子高齢化による年金財政悪化を口実に、年金は老後の安定収入からマクロ経済スライドやデフレ等で常に減額されるリスクを持つ不安定な収入と化してしまつた。
現在、賃金や物価が低下しているのはコロナの影響で個人消費が減少しているからである。今日本国において最も購買余力を持つのは70代の高齢者である。
彼らは年金収入は200万円超だが、貯蓄として2000万円以上を持つものが多い。彼らの消費マインドがプラスかマイナスかは日本の個人消費に大きな影響を与える。
高齢者が貯蓄を消費に回さないのは将来不安からであるが、その将来不安の最たるものは年金に対する政府不信である。度重なる政府の約束違反により、高齢者は年金の将来性に不安をもっており、預金を消費に回す気分にはなれない。
わずかな年金減額をおこなっても年金財政に寄与する割合は微々たるものである。それよりは最低限現在の年金額を保障することで高齢者の安心感を増し、その保有する金融資産を消費に回させる方がはるかに経済や財政にとってもプラスである。
政府は景気は国民の気分で左右されることを理解せず、国民に暗い未来と絶望をもたらすことに終始しているように見える。
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