様々な分野で米中対立が激化している。しかもこの問題は米中だけに留まるものではなく、従来中国とは仲のよかったオーストラリアやニュージーランドでも中国への警戒感が増している。
そして最も注目すべきはEU各国においても中国への警戒感が増していることである。
中国経済は着実に成長し、そのスピードはアメリカやEUを大きく上回っていた。結果的に中国の軍事力は量だけではなく質の面でも世界最高水準に近づいていた。
従来通り中国が米欧と親しい関係を維持できれば20年を待たず中国は経済・軍事の両面でアメリカを凌駕し世界の覇権を握ることは不可能ではなかった。
しかし、習近平は明らかに功をあせり、目の前に見えていた世界の覇権を握るチャンスを失った。
尖閣列島への挑発行為、南シナ海の一方的な領有化、香港の自治権形骸化等、習近平は次々とその野望を実現に移したが、それは時期尚早であった。
それらの行為が欧米諸国の中国への警戒感を覚醒させた。元々欧米諸国は中国経済が発展し近代化すれば欧米型の民主国家に変化するという幻想を抱いていたが、現実によりその幻想は打ち砕かれた。
今や中国は欧米各国にとって、欧米型の民主主義と敵対する体制を世界に広めようとする相いれない価値観を持つ敵として認識されてしまった。
欧米の指導者に余程無能で凡庸な者が付かないかぎり、今後の欧米各国の対中戦略は中国の台頭を抑えることに重点がおかれることになる。権謀術数に長けた欧米各国が中国を敵として認識すれば、中国の覇権は間違いなく阻止されるだろう。
日本も対中戦略を練る上においてはそのことを忘れてはならない。
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