コロナ禍による経済不振が指標にあらわれてきた。鉱工業生産は大きく落ち込み、失業者も急増している。
しかし、まだ国民には今回の経済不況の実感はない。勿論解雇された職を失った者や営業できない店舗の経営者はその限りではないが、収入面で直接的な影響を受けていない大部分のサラリーマンにはその実感は乏しく、コロナ禍による経済への影響は大したことは無いという楽観的な見方がでている。
株式市場が一時の下落から回復していることもそれを裏付けているように見える。
しかし、それは一時のあだ花である。このまま何事もなく日本経済が元に戻ることはありえないということを頭の片隅に置いておくべきである。
最初にその影響が表れるのは賃金である。東京商工リサーチの2020年度「賃上げアンケート」の調査結果によると賃上げを予定する企業は1万1668社で回答企業全体の72.1%となる。これは前年度実績の80.9%から8.8ポイント下落したことになり過去5年でみると初めて8割を割り込んで最低となった。また、企業全体の中のベースアップ予定企業の比率を計算すると22.0%で、昨年実績の34.0%と比べ12ポイントの大幅な減少となっている。
次に大きな影響をうけるのが賞与である。賃上げについては何とか対応できた企業も業績が大きく悪化している現状では前年と同額の賞与を出すことは難しい。
賞与の減少でそれでなくても減少している個人消費はさらに低下し日本経済をさらに下押しすることになる。これに大型の企業倒産が発生すれば、日本経済は下降しつづけることになり、誰もが不況を実感する状態に陥るだろう。
株式もその段階では現在の水準を維持できない。
はげみになりますので、クリックをお願いします