バブル崩壊過程において日本政府は大きな間違いを犯した。一つは急激な金融規制や利上げを実施してバブルをハードランディングさせたこと、二つ目は導入すべきでない時期に金融の国際基準を導入し厳しく適用したこと、三つ目は景気対策というアクセルと国民負担の増加というブレーキを同時に踏み景気低迷を長期化させたこと、四つ目は適切な円高対策を怠ったことである。
これらの政策失敗が日本の衰退をもたらした原因であるが、これが企業にどのように働きかけ企業を弱体化させたかを振り返ってみよう。
バブル崩壊直前多くの企業は不動産を保有していた。借金して不動産を保有していた企業も多かったが、健全な企業であってもその不動産の含み益を利用して資金調達を行っていた。
これがある日突然不動産の暴落に直面した。当然資産価値は減少するが負債はそのままであり企業の貸借対照表は大幅に悪化する。従来の会計のままであれば含み損を貸借対照表に反映させる必要はなかったが、国際基準が強制的に導入され、貸付基準が厳密に適用され厳しい検査が実施されたため、ほとんどの企業が財務体質に問題ありとされ、資金調達環境は大幅に悪化した。
また、不動産価格の暴落は企業の需要の大幅な低下をもたらし、売上が減少することになった。金融環境の悪化に加え国内需要減と円高による輸出環境の悪化により先行き不安が高まり、企業は設備投資を止め工場閉鎖やリストラによる経費削減に方向転換した。
工場閉鎖とリストラはさらなる需要減を招き負のデフレスパイラルが日本に蔓延することになった。その結果、日本企業は縮小均衡に終始し新たな研究や設備投資を怠り、新しい時代に出遅れることになった。また、リストラされた優秀な技術者が中国や韓国等のアジア諸国に流出することでこれらの国の技術力が高まり多くの分野で日本の地位を凌駕するに至った。
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