国としての日本については、アジア諸国とは比較にならない先進国だと思い込んでいる。経済低迷や財政危機、少子高齢化等の問題は既に国民の目にもはっきり見えているが、それでも何の根拠もなく日本は大丈夫だと考えている。
現在、財務省と自民党は「ヨーロッパ先進国と比較して日本の消費税率は低い」と主張し、消費税増税により財政危機の解消を優先している。しかし、ヨーロッパ先進国は高い消費税により、国民が医療面や生活面で一生困らない社会保障体制を実現しているが、日本では医療や生活に関する社会保障は低水準のままであり、税率だけヨーロッパ先進国並みになったとしても生活は自己責任となる。
また、税率をどんなにあげても経済が成長しなければ財政再建できるほど税収は増えない。「ヨーロッパでは消費税率が高くても日本より経済成長しているから、日本はもっと消費税率を上げられる」と言っていた評論家がいたが、これは本末転倒である。経済成長しているから消費税率が高くても経済も国民生活も成り立つのである。
ヨーロッパ先進国と比較するなら、税率以前に経済成長率を比較すべきである。バブル崩壊後の20年でヨーロッパ先進国GDPは2倍近くまで成長したが、日本は成長しなかった。
財政悪化の主因は政府の主張するように少子高齢化にあるのではない(今後の財政悪化は別にして)。経済を成長させられなかったことに原因がある。
日本経済はアクセルとブレーキを踏むという政策の失敗により20年を超える経済停滞を招いたが、原因はそれだけではない。既得権を持つ事業者を保護するための規制政策が日本経済が新しい潮流にのることを妨げている。
既にアジア諸国は日本に迫り、後20年程度で日本を抜くだろうが、日本にその危機感は少なく根本的な対策は何も講じられていない。
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