20年後には総人口の1/3に達する高齢者の生活をどうするか、という問題は日本の未来を左右する大きな問題である。
高度成長期からの日本の高齢者の生活モデルは、厚生年金と貯蓄で老後生活を送ることであった。
しかし、平成の30年の間に日本のサラリーマンの賃金事情は大きく変化した為、40代以降のこれからの高齢者には(それより若い層については不確定要素が多きすぎる)そのような老後生活は期待できない。
まず、30年以上実質的な可処分所得が減少した為、65歳までに十分な貯蓄を確保できていない。
また、企業が退職金減額の為に退職給与規定を改悪しており、従来は最終賃金を基準に退職金を定める企業が多かったが、現在では多くの企業が入社時から退職に至るまでの賃金を基準としたポイント制を採用しており、退職金は大きく減額されている。
さらに、国は年金給付額を年々減額しているだけでなく、消費税増税や社会保険料の値上げ等を実施しており、年金生活者の可処分所得は毎年急激に減少している。
上記は正社員の話であり、小泉改革以降増加した非正規労働者については、老後に貯蓄や年金で生活できる可能性は皆無であり生活保護以外の老後生活は難しい。
このように戦後日本の高度成長期に確立された老後生活モデルは既に崩壊している。自民党が家族に拘り家族間の扶養義務を強調しがちなのは、最終的には高齢の親の面倒は子供がみるべきという意図が垣間見られる。
しかし、国民の1/3を占める高齢者を単なる年金生活者や被扶養者のまま放置しておいては日本社会が発展することが期待できないのは明らかである。
高齢化社会においては高齢者が戦力として働ける環境を整備するのが唯一の方法である。
つづく
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