今後の世界情勢は米中の冷戦に入ると予想される。前回の米ソ冷戦との大きな違いは中国の経済力と技術力にある。
米ロ対立の時代、アメリカは経済力や先端技術力においてソ連を圧倒的に上回っていた。軍事力ではかろうじて均衡を保っていたが、時間がたつにつれアメリカが優位に立つことは明らかであった。
しかし、中国の場合は事情が異なる。経済力ではアメリカを抜くことが確実視されており、先端技術においてもアメリカとの差は大きくない。
このまま従来通り中国が西側の技術を利用できれば、やがて世界の覇権はアメリカから中国に移ることは避けられない。
アメリカがこれに危機感を抱き技術移転を阻もうとするのは当然のことである。経済よりも覇権争いの方がはるかに重要なのである。
しかし、日本においてはこれらの認識が十分にされていない。日本の産業界は収益の為に平気で先端技術を中国に売り渡し、政府もこれに対し何の手もうっていない。
米国は先端技術の国外流出に幅広く網をかける。安全保障を目的とする国防権限法に基づき、人工知能(AI)やロボットなど先端技術に関して輸出と投資の両面で規制を大幅に強める。輸出規制は日本企業も広く影響を受ける見通しだ。米国を含む複数の国で事業をする日本企業が中国に輸出したり、事業を売却したりする場合は米国の審査・規制対象となる。
日本企業の中ではこれらの規制で大きな影響を被ることを危惧する動くがあるが、反日感情がいまだにくすぶっている中国が世界の覇権を握れば、日本が自由と繁栄を維持することが難しくなることは間違いなく、先端技術の中国移転を妨ぐことは日本の国益に合致する。日本企業も政府も目先の利益を捨ててでもアメリカに協力すべきである。
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