中国の台頭依頼、世界の価値観の中で民主主義の絶対的地位が揺らいでいる。
20世紀は民主主義が絶対的な信頼を得た時代であった。ドイツやイタリアのファシズムが倒れ、ソ連の共産主義が崩壊し、世界は民主主義の下に平和で繁栄の時代になると期待されていた。
しかし、その期待は裏切られた。
民主主義国の代表選手であるアメリカが民主主義の名の下に引き起こした多くの戦争はテロと憎しみの時代を生み出した。その結果、アメリカ自身も国民に対する監視や秘密主義的傾向を強め、民主主義的な理想から遠ざかっていった。また、アメリカで戦後急速に拡大した貧富の差は豊かな民主主義国としてのアメリカへの幻想を覚ましていった。
民主主義が十分に確立したとは言えないアジア諸国の経済的な発展や共産主義を標榜する中国の経済的発展は、民主主義こそが経済発展に必要だという20世紀の常識を疑わせるに十分であった。
人口が急拡大し、これからの発展を期待されるイスラム圏やアフリカの諸国は自国の伝統を生かしつつ発展できるモデルとしてアジアや中国の成長モデルを手本として模索しており、欧米の民主主義はもはや発展に絶対に必要なモデルとは考えられていない。
民主主義国においてもアメリカと同様に国民主権と民主主義の理想は少しずつその基盤を侵食されている。日本における特定秘密保護法などもその先兵である。
特定秘密保護法が成立して5年になるが、秘密を記録した文書は17年末時点で38万3733文書となり、3年間で19万4540文書(203%)増えた。
民主主義が円滑に機能するためには国民が情報を共有していることが必要だが、官僚により都合の悪い情報が特定秘密として隠されることは民主主義にとって大いなる脅威である。
せめて特定秘密の情報についても10年程度の時間経過ですべて公開し検証できるようにすべきである。
民主主義というものは国民一人一人が日々意識し守る努力をしていないと維持できない制度であることを忘れるべきではない。
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