今の世界で主流を占め、多くの人間に正しい制度と見做されている民主主義が成立するためには、一つの大前提が成立し国民のコンセンサスを得ている必要がある。
それは人間が平等であるという実感である。
貧富の格差が大きく、地位が固定的であったり、互いに言葉や宗教、習慣が異なると、互いに対等で平等という実感は薄れがちになる。
移民が来ても、社会に溶け込み、郷に入れば郷に従うという姿勢を貫けば、移民の増加は民主主義の脅威ではなくなる。
しかし、集団で移民し、移民先の慣習や文化に染まるのではなく、それを無視し独自の文化を維持し続ければ、移民先にとっては異分子となる。
また、集団間で意見が異なり、ある項目の諾否について民主的な多数決を利用して決定しようとしても、もともとの住民は賛成、移民は反対というように意見が集団ごとに二分されれば、多数決は多数者による少数者への押し付けとして受け取られ、誰もが納得する民主主義的手続きとしては機能しなくなる。
国家が民主主義体制を維持しようとすれば、文化や言語が異なり社会的同化が難しい移民の大量導入は避けなければならない。
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