アメリカほどではないが日本の経営者の報酬が高額になり、従業員との間の報酬格差が拡大している。1億円を超える報酬を得ている役員の数は2016年時点で530人に達している。
米国でも1970年代までは典型的なCEOの年間報酬は100万ドル以下。平均的な「社内格差」も30倍程度と今ほどひどくなかった。しかし、レーガノミクスの金融自由化が始まる70年代終わり頃から、これが様変わりする。1978年から2014年までの期間を見ると、この間に勤労者の報酬が11%しか伸びなかったのに、トップの報酬は10倍になっている。
日本でも同様に勤労者の報酬が伸びないにもかかわらず経営者の報酬は増加し続けている。能力ある経営者が経営能力を発揮し大幅な増益を実現し、その対価として高額な報酬を得るのは否定しないが、サラリーマン経営者が社長を務める多くの日本の大企業においては、企業業績の改善は社長の個人的能力によるよりは従業員の能力や努力によることが多いように見受けられる。
それにもかかわらず、従業員への分配を抑え、経営者だけが自らの報酬を増やすのは合理的な分配とは言えない。
オーナー経営者やセアメリカのような専門経営者の報酬については別だが、社員の神輿の上に乗っかって経営するサラリーマン経営者の企業においては、経営者の報酬は最大でも従業員の補遺金賃金の5倍程度に抑えるのが妥当なところである。
今以上に自分の報酬を上げたかったら、まず従業員の平均賃金を引き上げる努力をすべきである。
アメリカ型の一部の大金持ちと大多数の貧困層から構成される社会よりは、中間層が多数を占める社会の方がはるかに平和で安定した社会である。
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