低金利政策で借入金利が低く為替も110円代の円安が継続している。需要面でも復興需要やオリンピック特需等、本来であれば景気が急速に拡大しても良いだけの条件が整っているにもかかわらず、日本の経済には勢いがみられない。
一部には人手不足をその原因に指摘するむきもあるが、根本的な原因はそれではない。
少子高齢化で働く層が減少し、それが人手不足の原因であるかのように語られることが多いが、それはもっともらしい作り話にすぎない。
人手不足は本来設備投資で解消可能である。国内での省力化設備投資をせず、女性労働者や外国人というような低賃金労働者に頼ろうとしているのは、企業が日本経済の先行きに不安を持っているからである。
この好環境でも個人消費は低迷しており、企業には復興需要やオリンピック特需が終了すれば、急速に日本経済は低迷するのではという不安がある。
日本経済の最大要素は個人消費にあり、消費需要が低迷していては、将来の収益を見込んで設備投資することはできない。
あらゆる好環境にもかかわらず、日本経済が低迷しパットしないのは、個人消費が伸びないからである。
そして、個人消費が伸びない原因は国民の中に将来不安や老後不安が定着してしまったからである。
政府は口を開けば財政危機や少子高齢化による社会保障不安を強調し、その過程で増税を実施し年金や健保等の改悪を継続してきた。
しかし、その対策は根本的な問題である少子化を解消し国民を安心させるものではなく、将来も増税され社会保障は改悪されつづけるが、問題は何一つ解決しない、という恐怖を確信させるものでしかなかった。
その結果、少しでも先の見える国民は自衛に走っており、可能な限りムダな消費を抑える方向で生活している。
少しでも安い店だけが繁盛し、政府のデフレ脱却キャンペーンに踊らされて値上した店から客が逃げるのは当然の結果である。
政府は増税や社会保障を改悪する為に、国民に対し将来の危機感を過度に煽ってきたが、それがブーメランのように還ってきて、政府がどんなにデフレ脱却を焦っても国民は財布の紐を緩めない。
このまでは2020年以降の日本経済の先行きは限りなく暗い。
政府が国民に対し将来不安を解消する客観的で説得力のある政策を提示できない限り、日本の衰退はもはや既定路線と言わざるを得ない。
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