日本企業の世界的な地位はバブル崩壊後低下を続けている。これに比例するように労働者の平均所定内賃金はほとんど増加していない。
一方で役員報酬はアメリカの影響を受け増加傾向にある。本来役員報酬は企業業績の伸びに応じて増加すべきものであるが、多くの企業でそれ以上に増加している。
経済にとって一部の金持ちと大多数の貧乏人に分断された社会と、中流階層が多数を占める社会のどちらが良いかと比較すれば、明らかに中流階層の多い社会の方が経済発展には有利である。
理由は簡単である。一般庶民の100倍の所得がある者であっても、質はともかく量の面では100人分の消費をすることは無いからである。
また、庶民が消費する商品は大量に生産する必要があり、多くの資源と労働力を必要とし、それが消費されることは雇用や需要を生み経済成長に直結する。
一方で金持ちが好んで消費するような高級品は高い技術を擁する一部の限られた労働者の仕事に繋がるが、大部分の大衆には無縁のものであり雇用にも資源消費にも繋がらず経済への波及効果は少ない。
経済規模が同等であれば、少数の金持ちに金が集中した社会よりは、中流階級に金が分散している社会の方がより多くの雇用や資源の消費をもたらし、経済発展をもたらしやすい。
日本のデフレの主因は資金に余裕のある企業が国内ではなく海外投資していることにあるが、その根本をたどれば国内消費が低迷していることにある。
これには将来不安による買い渋りや賃金が上がらないことが影響している。安倍総理がどんなに声を張り上げても多くの企業には響いていない。
しかし、賃上げは日本企業復活には絶対に必要な要素である。日本の役員報酬はアメリカと比較すれば少ないが、今はアメリカのまねをして自分達の役員報酬を上げる状況ではない。その余裕があればまず労働者の賃上げを優先すべきである。
はげみになりますので、クリックをお願いします