政府は21日、税や保険料で賄う医療、介護など社会保障給付費が経済成長率を年2%前後とする基本ケースで2040年度に190兆円になるとの推計を公表した。
今この時期に新聞を動員してこの手の記事を流すには勿論意味がある。景気後退が明白となり国民が消費税増税政策に抱き始めた疑問を早い内に潰す為である。
さらに、今後次々と実施予定である社会保障に関する国民負担の増加と年金や介護保険、健康保険での改悪への布石でもある。
しかし、少子高齢化の進行に何の効果的手もうたなかった政府や官僚の無策の当然の結果であり、今更大騒ぎすることでもない。
財務省やその意を受けたマスコミが何を言いたいかというと、このままだと大変なことになるからもっと国民は社会保障費の負担増を容認すべきだし、年金や介護、健康保険に関する給付は減らすべきである、ということである。国民洗脳の一貫であり、これからも同様の記事が次々と発表されるだろう。
しかし、これは間違いである。社会保障費が増えたといってもその原因は高齢者人口の増加にあり、高齢者個々が享受するサービスはむしろ年々低下しており、高齢者の貧困化と相まって既に老後生活を支えることができなくなっている。
高齢者人口の増加を考慮すれば、社会保障の給付を大幅に削減しないと、社会保障費の増加を防ぐことはできないが、そうすれば日本社会は根底から崩壊してしまう。
日本にとって、社会保障費の増加による財政危機と、高齢者の生活が成り立たなくなるることによる生活保護増加、経済衰退、社会的不安の増加と治安の悪化のどちらがより危険かといえば、後者であることは間違いない。
政府と財務省は効果の無い目先の社会保障改悪に終始するのではなく、少子高齢化の進行という根本的な問題に正面から対峙し、今後50年の日本をどう運営するのが最善の方法か、真剣に考え実行すべきである。
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