パナソニック、電通、KDDI、トヨタ自動車等、国内企業が業績好調を背景にスタートアップに投資を行うコーポレートベンチャーキャピタルが増え続けている。潤沢な資金を後ろ盾に、日本のCVCは今後さらにベンチャー企業への投資を加速していく。
潤沢な資金を持つ日本企業が弱点でもある新規事業を行うスタートアップ段階のベンチャー企業に投資することは、一見するといいことのように思える。
しかし、過去の日本企業の行動を良く知っている私などから見ると、またまた失敗するのではないかと危惧せざるをえない。
元々日本の大企業は現時点の延長ではない新規事業についての見る目が無い。そのことが今世界をリードしているアメリカ企業が実施しているような事業を実現できなかった理由であり、現在低迷している理由でもある。
過去のバブル期においても、多額の投資や買収を実施したが、その成果はバブル崩壊過程で霧散した。その理由は簡単である。だれもが良いと認めるような事業にだけ投資したからである。
この点は今も変わっていない。スタートアップ段階の企業に投資するにしても、日本企業のベンチャーキャピタルは皆が同じ会社に殺到し結局高い買い物をするだけである。またぞろブームが去れば大きな損失処理に追われることになるだろう。
日本企業がまずすべきことは、社内に埋もれているシーズや人材を掘り起し、独立させそれを支援することで自らベンチャー企業を作ることである。
日本企業は多額の研究費を投入してきたが、そのうち事業化されるものはわずかであり、優秀な人材を活用できず内部で飼い殺しにしている。
ソニーの例に典型的にみられるように、常に目先の利益と流行だけを見て事業化している為、十分事業化可能なシーズが放置され朽ちている。
せっかくのアシモ事業を採算がとれないからと中止し、世の中が変化しものになりそうだとわかってから復活する。
あのまま継続していれば、今頃は他の追随を許さないソニーを支える基幹事業としての発展も不可能ではなかっただろう。
新規事業への投資が得意でない伝統的な日本企業は外部の新しいものに飛びつくよりは、まず内部のシーズと人材の活用をはかりスタートアップ事業へのノウハウを蓄積するべきである。
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