日本の一流企業のデータ偽装問題が多発している。多くの場合これらの不正は、経営者が社の方針として偽装を指示したというよりは、経営者の知らないところで行われてきたという方が事実に近いのだろう。
経営者から下された経営目標を実現し自らの評価を上げる為に、部門責任者や担当者が経営全般への悪影響を考慮せず、部分最適化を実現する為に実施したものである。
個々の部門の仕事の仕方について詳しくマニュアル化され、その実施過程についてチェックとレビューする企業統治システムが整備されていれば、このようなデータ偽装が発生するリスクは低くなる。
しかし、日本のシステムは明治の時代から、トップは神輿に乗るだけであり、個々の仕事は神輿の担ぎ手に任すということが美徳とされてきた。
その弊害が日本陸軍等に典型的に表れたのだか、戦後の日本企業においてもその悪習が面々と残っている。
社長は神輿としてその地位に座っているだけであり、仕事は部門責任者に任せている。部門責任者は部長に、部長は課長に、課長は部下に仕事を任せている。
方針や指示・命令はしても仕事の仕方の中身については下の者に丸投げし結果だけで評価する。
マニュアルはあっても実際の仕事との乖離が放置されており、新人はマニュアルからではなく先輩から仕事を覚え、その手順が必要な意味を理解していない。
一流の大企業であっても、このレベルの企業が多い。アメリカ型マニュアル経営については融通が利かないと批判する声が多いが、担当者が自分の裁量で勝手に行う日本型よりも、問題点が客観的に把握できるだけ余程マシである。
日本人労働者は外国人労働者と比較し自分で考えることができ優秀だと言われてきたが、社員が中途半端に優秀だと自分の仕事範囲だけを考えて、勝手に必要な作業を省略し効率化しかねない。そしてそれは結果しかみていない上司にはわからない。
その結果、手抜きやデータ偽装が発生することになる。
マニュアルを整備し、その通り仕事させること。常にマニュアル通り、社則通り仕事しているかチェックする仕組みを作ること、今の日本企業には例え泥臭くコストがかかっても、このような地道な統治システムを整備することが必要である。
経営者が神輿に座って後は部下におまかせと言う立場で多額の報酬を得ることは許されない。知らなかったではすまないのである。
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