現在、憲法改正については、いわゆる右派が賛成でリベラル派や左派は反対という立場に二分されている。
しかし、現在の資本主義社会を否定する立場の左派はともかく、リベラル派を称する者が一律に憲法9条の改正に反対というのは不思議なことである。
憲法9条は明らかに破綻しており、物事を客観的に観察し理性的に判断できる能力があれば、リベラルという立場でも憲法9条は改正すべきと判断するはずである。
そもそも、憲法の価値はその条文によって時の国家の権力行使を制限し国民の権利を守ることにある。
しかし、憲法9条では「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と明記されているが、自衛隊はどう理屈づけようが、陸海空の戦力であることは否定できない。
つまり、今の日本国憲法は時の政府の解釈で条文に反することも実行できる存在に成り下がっている。これでは国家権力を制限し国民の権利を守る役割を果たすことはできない。
一方、憲法を文言通り解釈すれば、自衛隊は明らかに憲法違反の存在である。憲法を遵守する立場であれば、自衛隊は解体されるべきである。
しかし、現在の日本を取り巻く国際環境を客観的に判断すれば、憲法前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」書かれているように、我が国の安全を中国や北朝鮮、ロシア、韓国に委ね自衛隊を解体することはできない。
また、戦後一貫して我が国の安全保障はアメリカに依存しているが、その結果アメリカ軍に多くの日本国土を提供しているだけでなく、外交や経済政策、日本の政治体制等の多くの面でアメリカに実質的に隷属せざるをえなかったことは周知の事実である。
現時点では、日本国憲法は世界情勢や日本を取り巻く環境に合致していないだけでなく、憲法として国家を制約し国民の権利を守るという役割を果たせておらず、日本の国家主権をアメリカに侵害される元凶となっている。
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