日本を代表する大企業の不祥事が相次いる。商品偽装に過労死をもたらす無理な働き方が表面化することで、政治は三流だか経済は一流と自負してきた日本の経済を支えてきた大企業の信用が急降下している。
これらは表面化した企業だけでなく、ほとんどすべての日本の大企業に発生する可能性がある。
というのは、日本企業には致命的な問題点があるからである。一つは経営者の問題である。日本の大企業の経営者の多くは、能力によって選ばれるのではなく、調整能力によってえらばれることが多い。
彼等は、自ら経営を指揮監督するというよりは部下に任せるというスタンスで企業統治を行うことが多く、結果的に自社の業務の実態については無知であることが多く、内部で不祥事が進行していてもそれを発見・制御する能力はない。
二つは企業の労使関係である。日本社会では企業と従業員の力関係は圧倒的に企業が優位である。また、能力よりも会社への忠誠心が重視され、転居を伴う転勤や得手不得手と関係なく実施される人事異動等は企業の一方的な都合で実施される為、社命に逆らうことは大きな不利益が伴う。その結果、長い者には巻かれろという日本人の体質と相まって、不祥事に気づいてもそれを黙認したり、健康を壊すような長時間労働であっても企業の意向とあれば拒否できず、過労死に追い込まれる者かでてくる。
能力ではなく、忠誠心や調整能力を重視するような組織では、組織の意向に反する者は如何に能力があっても排除されることになる。
欧米の技術を導入し、そのマネをしていればよかった時代には、勤勉で何も言わない日本人従業員を擁する日本企業は勝利をおさめえたが、手本がなくなった現在、企業に物申すことができる多様な従業員を容認しない限り、日本の大企業に未来はない。
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