経済産業省所管の産業革新機構が2000億円を出資し筆頭株主になっているジャパンディスプレイ(JDI)の経営が綱渡りの状況だ。9日発表した2016年4〜6月期の連結最終損益は117億円の赤字。成長資金をひねり出せず、筆頭株主の官民ファンド、産業革新機構に金融支援を要請せざるを得なくなった。
JDIは日立製作所、東芝、ソニーの3社が、日の丸半導体の復興をもくろむ経済産業省の主導の下に、中小型液晶パネル事業を統合して12年4月に発足した。再編を主導した革新機構が2000億円を出資し、実際、JDIは中小型液晶で世界首位に立った。
しかし、3社の主導権争いによる意思決定の遅れやアップルの有機ELへのシフト、大胆な投資に踏み切れない体質が現在の苦境をもたらしている。
2000億円の出資金に加え、JDIの銀行からの借り入れに対し革新機構が保証しているが、JDIが倒産したり、外資に売却されることになれば、これらの資金の回収は難しく、結果的に多額の税金が失われることになる。
経営判断のミスで聞きに陥った企業を再建するのは並大抵のことではなく、資金を投入したから再建できるものではない。有能な経営者に全権を任せることが必要である。
JDIの場合、3社の主導権争いで迅速な意思決定ができず、主導権を握る産業革新機構には経営能力がない、これではいくら税金を投入しても再建できるはずもない。
元々、経営能力の無い官僚が主導で企業を救済しようというのが間違いであり、危機に陥れた無能な経営者達が依然として経営に影響力をもっていることが間違いである。
経営難に陥った企業はまず倒産させ、見込みのある事業については有能な経営者に譲渡し、全権を任せて再建させるべきである。
税金をと投入するとすれば、それからである。
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