日本では様々な規制が乱用されており、それが経済の健全な発展を妨げている。農業分野への参入規制やタクシー料金の下限設定、今回のビール値上などはその典型である。
しかし、全ての規制が不要かというとそうでもない。食や薬品の安全等々国民の安全を担保する為の規制は必要である。
但し、日本の場合は、官僚の責任逃れ体質から、合理的な水準以上に過度な臨床試験等を要求する為に、医薬品等の分野で外国で実用化されている薬品が利用できないといった弊害がみられるところは大いに改善する必要がある。
また、優越的地位にある大企業が下請け等に対し原価をはるかに下回る低価格での納入を要請するといった優越的地位濫用の防止も必要である。これを許していては新しい有望企業が育たず結果的に日本の経済にマイナスになる。
補助金についてはほとんどが意味はない。特に企業の研究開発や農業の第六次産業化等に対する補助金は税金の無駄遣いである。
そもそも必要な投資は企業自らが行うべきものであり、補助金をもらってやる場合は補助金がなければやらないが、あるからやるという投資である。
経営戦略上どうしても必要な投資や研究開発は補助金があろうがなかろうが実施する。補助金がなければやらないようなものは企業にとっても経営戦略上それほど重要ではない。
結果的に多くの補助金は身を結ばず無駄に浪費されていく。農業補助金も同様である。補助金ありきの投資は決してうまくいかない。
補助金はいざ制度がつくられると、今度は出先官庁に消化ノルマが課されることになる。その結果、少しでも該当しそうな案件があると、多少条件が異なっても役所から補助金の利用を勧められる。
雑談程度の話に対し、急に何億もの補助金を使ってほしいという話しになる。補助条件とは異なると言っても積極的に話を進めてくる。
申請書類の作成時点では、親切にもここはこういうふうに書けば通りやすいと教えてくれる。
しかし、補助金に感謝するのはここまでである。いざ設備投資を実施すると、企業ではあまり重要のない設備が補助金では要求され、補助金条件を満たす為に建物等が不必要に豪華になり結局当初計画の倍ほどかかってしまう。50%補助金を貰っても決して安くはならない。
これから後が大変である。役所の検査が入る。まず補助条件通りの設備になっているかがチェックされ、その後は数年に一度条件通り運用されているかチェックされる。
元々、条件に合わないものに無理に補助金を適用したので、これが大変である。如何に検査官をごまかすかが担当者の腕になる。
この検査が建前上は補助金で作った設備が減価償却し終わるまで続くことになる。当初は補助金趣旨に見合う事業を行っていても時代の流れでそれができなくなることはよくあることである。
その場合申請して許可をもらう必要があるが、この手続きが面倒である。実際のところは黙って事業転換するケースがほとんどである。そこに検査がくると大変である。
補助金を受け取った多くの地方自治体や事業組合や企業はこのようなムダな業務に頭を悩ますことになる。
補助金が実質的な成果を上げたのは、戦後からの復興期だけであり、それ以後補助金が決定的な成果を上げた例はほとんどないといって過言ではない。
設備投資であれ研究開発であれ、補助金などあてにせず、主体的に実施する事業者だけが成功をおさめることができる。
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