安倍晋三首相は3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。首相は改正項目として憲法9条をあげている。
この点については私も安倍首相と同意見である。
日本国憲法が制定された時点とは日本を取り巻く世界情勢は大きく変化しており、軍事力の保有なしには日本の平和が維持できなくなっていることは既に多くの国民も理解しつつある。
リスク管理に対して少しでも知識がある者であれば、憲法の理想的な精神に則り、自国の平和を他国の理性と善意に委ねることがどれほど無謀なことかは、明らかである。
憲法が軍隊の保有を禁じているにもかかわらず、なし崩し的に憲法条文を無視し自衛隊を設立増強してきたのは、為政者がこの事実を理解していたからであり、国民がそれを黙認してきたのも、単なる無知ではなく、心の底では武力なしの平和が実効性のない単なる理想主義にすぎないことを理解していたからである。
私は国民の多くが軍田としての自衛隊を容認していると確信している。もし憲法9条を文字通り解釈し、自衛隊を解散し非武装になり日本の平和を中国や韓国に依存するか国民投票すれば100%解散に反対する方が勝つだろう。
憲法9条の理想はそれなりに立派なものだが、実際のところ日本は軍隊としての自衛隊を保有している上に、その平和はアメリカの核軍事力に依存しており、その実は形骸化している。
その結果、現在の憲法は文字通り解釈できず、時の政府の都合でどうとでも解釈できるものに成り下がっている。実質的な自衛隊の存在が必要であるなら憲法にそれを明文化することで、憲法そのものを文言を無視した勝手な解釈から解放し、再び成分憲法としての実を取り戻すことができる。
一方で安倍首相も所属する日本会議は憲法9条改正だけでなく、戦前の価値観を復興しようと狙っている。
彼らの中では憲法9条の改正と戦前回帰が一体のものと理解されているようである。しかし、この両者は全く異なる。
憲法9条の改正はリスク管理の問題であり、それは戦前の体制とは何の関係もない。多くの民主主義国家も軍隊を保有している。
しかし、戦前の価値観は江戸時代の封建制、早急に統一する為に採用された天皇神格化、海外に効率的に追いつく為の官僚制等の入り混じった歪曲性と特殊性を有するいびつな価値観や体制であり、汎用性を有するものではない。
憲法改正は、現在の社会的価値観を維持しながら9条のみを改正するものであるべきであり、歪んだ戦前の価値観を復活させるものであってはならない。
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