トランプ大統領が誕生し、アメリカではかって例のなかった反対デモが発生している。従来の正当な良きアメリカ市民の価値観とは大いに異なるトランプ氏の暴言が反発を招いた結果である。
何故トランプ氏のような従来アメリカでは決して大統領になれなかったような人物が大統領になりえたのか。
それにはアメリカ社会の分裂が大きく影響している。
アメリカ社会をリードしその価値観を形作っているのは国富の大部分を手中に収めた少数の大金持ちと、それに従い社会を動かすエリート層である。
一方人口の大部分を占めるのは没落しつつある中間層である。富裕層やエリート層が年々所得を増やし資産を増加させる一方で、大部分の中間層や下流層は年々貧困化している。
従来は富裕層やエリート層の価値観がマスコミ等を通じて、中下位層を含むアメリカの価値観として共有されてきた。しかし、この断絶が大きくなった現在、繁栄する富裕層やエリート層と没落する中下位層が同じ価値観を共有することは困難になってきた。
アメリカの経済や思想は富裕層やエリート層がしっかりと握っているが、多数決原理の支配する政治分野においては、圧倒的多数を占める中下位層の意思を無視することはできない。
特に大統領選挙においては、中下位層の支持を得ることが不可欠であり、今後もアメリカ社会の階層分化が進む限り、中下位層の不満を代弁するような過激な意見を述べる候補者が勝利する可能性は高い。
アメリカの政治は良識ある紳士的な政治から極端で過激な政治に徐々に変化していくだろう。
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