トルコでクーデターが発生し失敗に終わった。原因と
しては国民の支持を得られなかったことが挙げられ
ているが、最大の失敗の原因はそれではない。
クーデターを成功されるには、政治の機能を止めるこ
とと、情報を操作することが不可欠の条件である。
トルコのクーデターにおいては、大統領を拘束できず、
政治機能を不全にすることに失敗し、インターネット
による情報を遮断できなかった。これでは失敗するの
は当然である。
今回の軍のクーデターは近代トルコの伝統である非
宗教化政策に反し、イスラム教化を進めるエルドアン
政権に対する世俗派の牙城である軍の不満が表面
化したのである。
ギュレニストをクーデターの首謀者として糾弾してい
るが、実際のところは軍の主流はであるケマリストと
の直接対決を避け、軍内部のギュレニストをスケー
プゴートにして軍を分断しその勢力を削ぐのがエル
ドアン政権の狙いである。
トルコにおいても多くのイスラム国と同じく、西洋文
明に対するアンチテーゼとして市民の宗教化が進
んでいる。
今回、多くの市民がクーデターに反対した要因には、
民主主義を守るという以外に、エルドアン政権のイ
スラム化政策に対する賛同もある。
しかし、イスラム教は現在の民主主義社会に適応で
きる宗教にはなっていない。
キリスト教世界が資本主義と民主主義を標榜する社
会に変貌できたのは、宗教革命でキリスト教が宗教と
日常生活を敢然に分離した宗教に変化したからである。
しかし、イスラム教はまだその段階に変貌していない。
イスラム教においては人間ではなく神が中心であり、日
常生活が宗教によって大きく制約されており、現代的
な資本主義や民主主義社会に適合する宗教にはなっ
ていない。
その結果、イスラム化が進めば進むほど。経済発展は
阻害され民主主義は遠のく。インドネシアやマレーシア
においては従来イスラム教が政治や経済に大きな影響
を及ぼしてこなかったため経済成長を享受できたが、今
後宗教の影響力が政治や経済、国民生活に及ぶことが
あれば、従来のような発展は期待できなくなる。
イスラム世界が世界の表舞台にでてくるには、イスラム
教においても、今の原理主義化とは真逆の宗教革命が
必要となるだろう。
はげみになりますので、クリックをお願いします