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2016年06月15日

財政破たんを考える その21 ヘリコプターマネー

最近ヘリコプターマネーが注目を集めている。日本
国民に直接金を配り消費を増やしデフレからの脱
出を図るというものである。

スイスで否決された国民全員に一定額の金額を支給
るベイシックインカムというのもヘリコプターマネー
一種であり、スイスが国民投票で可決されたら実施
する予定だったのだから、決して絵空事の政策ではな
い。

これに対し、JPモルガンチュース銀行の佐々木融氏
批判している、その論拠は政府が金をばら撒けば
貨幣価値が下がり、預金が目減りする。さらに一度実
施すると歯止めがきかなくなり、泥沼にはまる。という
ものである。

確かに、景気底上げデフレ脱却の手段としてヘリコ
プターマネーを活用しようとすると、一度に大量の資
金を配る必要性があり、佐々木氏が言うほど極端で
はないが、ある程度の弊害が生じる。

しかし、給料の倍の資金を配れば倍のインフレになる
という氏の主張は極論であり間違っている。氏も言っ
ているように一部が貯蓄に回るので需要は2倍になら
ず、需要が増えれば供給増えるので、需要の増加分
だけ価格が上がることはない。

実際のところ2006年から2016年の間に広義の流動
性は1356兆円から1646兆円まで21%増加したが、
消費者物価は2.8%程度しか上がっていない。

経済政策としてヘリコプターマネーを利用する方法に
は私も反対である。政府紙幣等を活用して公共投資を
実施しても、現在の人や資材がひっ迫する状況では効
果は期待しがたい。また、個人に金を配ったとしても佐
々木氏の言うように継続的に実施しないと意味がなく、
弊害が大きい。

しかし、ヘリコプターマネーの活用が有効な分野が存
在する。それは社会保障分野である。

このシリーズで提案した無駄の排除、経済成長政策、
増税を実施できたとしても、それだけでは人口の多い
団塊の世代の高齢化に伴う社会保障負担を賄うには
不十分である。

この年金や医療費、介護費の不足に対応するのに
ヘリコプターマネーを活用すべきである。

老後の不安を解消できれば、個人消費は大幅に増加
し経済も成長できる。

50年から100年程度の超長期国債か政府紙幣を発行
することでこれにあてる。

団塊世代が消滅する今後30年程度で1000兆円程度
の資金は必要となるが、仮に全て国債で賄えば借金は倍
になるが、インフレ率2%を維持できれば問題にならな
い。

勿論、少子化対策は徹底的に行い、人口構成を修正
50年先には社会保障システムが健全化しているこ
が必要なのはいうまでもない。

もし、失敗すればハイパーインフレが発生し、国民は
塗炭の苦しみを味わうが、政府の財政は健全化し、
国民は等しく貧乏になり、敗戦後のように一からやり
直すことになる。

じりじりとゆでガエルのように、何もできず、徐々に
滅びの道を歩んでいくよりはこの方がマシかもしれない。





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posted by ドクター国松 at 11:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 財政再建 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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