今年2月、非鉄金属大手の住友金属鉱山が大博打に
出た。10億ドル(約1100億円)もの巨費を投じて、
米モレンシー銅鉱山の権益を25%まで追加取得す
るのだ。
住友鉱はチリ銅鉱山の689億円もの減損損失が響き、
2016年3月期に14年ぶりの経常赤字に転落すること
が確定したばかり。この逆風下に積極投資に打って出
たことに、市場関係者は驚きを隠せなかったのである。
(DIAMOND ONLINEの記事から)
日本企業としてはめずらしい決断である。
典型的な日本企業の投資行動は、自社の業績が良好
な時に、誰が見ても必要だと思う分野に投資する。
三菱商事や三井物産が減損処理に追い込まれた資
源関連の投資行動がその典型である。
彼らが資源に投資したタイミングは中国の台頭で資
源価格が高騰しており、誰もがこのままでは将来資
源不足は避けられないと考えていたタイミングであった。
そして、その目論みがハズレ多額の損失を蒙っても、
当時誰もがそう考えていたのだから「経営判断ミスで
はない」と開き直っている。
これが日本の大企業の経営者の体質である。リスク
をとって独自の判断をするのではなく、誰もが納得す
るタイミングで皆が疑問に思わない対象に投資し、仮
に失敗しても、当時は皆が正しいと思っていたのだか
ら経営判断は間違っていないと言い訳し何ら責任を
とらない。
ところが今回の住友金属鉱山の決断は異なる。チリ銅
鉱山の減損処理で赤字を出しながら、更に銅山に新規
投資を行う。
これがもし失敗すれば、三井物産や三菱商事のような
言い訳は許されない。それだけの覚悟が必要となる。
これが経営判断゛てあり、これができてこそ経営者は従
業員より多額の報酬を得る資格を持つ。
実際、資源安、円高の今、資源を買うチャンスである。
このまま永久に世界経済が低迷すれば別だが、新興
国が未だに5%台の経済成長を続けている現在、再び
資源不足が生じる可能性は否定できない。
また、円高が不当に高いと考えているなら、本来すべき
ことは割高な円を用いて世界の割安な富を買うことで
ある。
外国企業を買収しても経営能力の低い日本企業では
失敗する事例に事欠かない。しかし、資源や不動産
等の特別なマネージメント能力が無くても利益を産む
資産については、割安な時に割高な円で購入すること
は正しい選択である。
はげみになりますので、クリックをお願いします