東洋経済で飯田 泰之明治大学准教授が軽減税率
は低所得者を救う」は大きな誤解だ。という文書を投
稿している。
しかし、その論拠はお粗末である。
彼はまず公平・簡素・中立という税制の大原則からか
け離れていることを反対の理由に挙げている。
しかし、そもそも消費税そのものが公平の原則に大きく
はずれており、軽減税率を反対する理由としては説得力
がない。
金持ちも貧乏人も同じようにかかる消費税は公平とは
程遠い。また、消費税が簡素でないことは簡易課税制
度が設けられていることが証明している。
中立性についても、消費者は負担するだけだが、事業
者は控除可能であり、輸出業者は還付を受けることが
でき、主体と販売・購入局面で負担が大いに異なり中
立とはほど遠い。
軽減税率適用への陳情合戦を反対理由としているが、
自民党案のように細かく分類をせず、公明党案のよう
に食料品全般を簡易課税対象とすればそのような問
題はおこらない。
また、最大の反対理由として、次の2点を挙げている。
1.日本ではエンゲル係数は金持ち20%貧乏人25%
で大差がないこと、
2.日本人にとっての「食」は趣味・嗜好品的な要素が
強い。その結果、食費の絶対額の多い富裕層の方
が、絶対額に直すと2倍以上の「軽減税率の恩恵」
にあずかることになってしまう。
これらは事実を歪曲し、軽減税率反対に世論を誘導す
るための詭弁そのものである。
エンゲル係数は消費支出に占める食料費の割合であ
り、これは軽減税率否定の根拠としては無意味である。
可処分所得に占める食費の割合で判断するのが正しい
検証である。
下位20%では年間収入166万円(月額13.8万円)、食
料費月3.5万円と25%だが、上位20%では年収1068万円
(月額89万円)、食料費月8.5万円で9.5%にすぎない。
飯田准教授は日本人にとっての「食」は趣味・嗜好品的な
要素が強いと言うが、低所得者には当てはまらないことは
明白である。
下位20%の日本国民は月13.5万円の収入から健康
保険料や年金を差し引かれ、その残りの可処分所得
から住居や水道光熱費等の削減できない経費を支払、
ようやく一日千円程度の食料費を工面しているのであ
る。
軽減税率は主に低所得者の生活を守るために必要
なものであり、例え高所得者がそれでより大きい利
益を得たとしても、それは軽減税率を否定する理由に
はならない。
どうしても高所得者の得る利益が許せないなら、高所
得者の所得税率を上げればすむことである高所得者
の方が金銭的利益が大きいと軽減税率そのものを否
定する理屈は本末転倒であり、財務省に媚びを売る
ものである。
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