最近の日本では自己責任という言葉が良く聞かれる。
貧しいのも、老後破綻に陥るのも、全て自分が悪い
のであり、社会が悪いと言うのは責任転嫁である、
という主張である。
そのような主張をする人は当然現在生活苦とは縁
のない人である。
彼らは地震等の自然災害で家を失い二重ローンを抱え
こんでいることはないし、認知症等の病気でつきっきりで
世話する必要のある家族を抱えているわけでもない。
また、多額のローンを背負った状況で会社が倒産し40を
超えて職を失った者でもない。
めぐまれた立場から、不運に見舞われた結果、もがいて
いる者を見下ろす発言である。
確かに自己責任を問うべきケースは多い。例えば年金
を賭ける余裕があったにも拘わらずそれをせず老後の
生活苦に陥る者に対しては、自己責任を追及してもいい
かもしれない。
しかし、年金を掛けてはいたが、もらえる額が少なく老後
生活苦に陥る者に対しては、国が何らかの支援制度を
考える責任を負うべきである。
当然そうすべきであり、国民の大部分が実施していること
を怠ったために生活苦に陥る者に対して自己責任を問うこ
とは否定しない。しかし、本人の責任のない災害や病気等
で生活苦に陥った者に対しては自己責任と突き放すのでは
なく手を差し伸べるのが文明社会のあるべき姿である。
バブル崩壊後30年近い長い不況が続き、財務省がやたら
と財政破たんを強調する現在、世の中が非常にせちがらく
なり、日本から優しさが失われつつある。
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