として日本の財政危機がある。
政治家が国民を納得させ安心させる処方箋を提供できない
ことが、日本人の不安を煽っている。
今回の衆議院選挙でも多くの政党がいろいろ言っているが、
どれも実際の問題解決には役にたちそうもない。
各政党の処方箋が混乱しているのは、今の日本の財政危
機の本質を的確に捉えていないからである。
まず、第一に彼らが誤解しているのは、財政危機は日本政
府だけの問題であり、日本国全体の問題ではない、という
ことである。
これを誤解しているから混乱し的確な解決策を見いだせな
いのである。
政府は確かに財政危機である。40兆円にも満たない税収に
もかかわらず、90兆円もの歳出が必要とされ、負債も1000
兆円に達する。
これは確かに財政危機である。
ここでも各政党に混乱が見られるのではっきり断言するが、
この財政危機が増税や歳出削減で解決できる、と考えるの
は間違いである。
日本政府は既に破綻しており、これを再建する方法は日本
航空の場合と同様に、債務切捨以外にない。
一方、日本国全体を見れば、無借金の純債権国であり、財
政危機とは無縁の優良国家である。
最近でこそ貿易収支は赤字になってきたが、まだ黒字に改
善する可能性は十分にあるし、海外に有する債権額は貿易
収支の赤字を十分にカバーできる。
超優良国家である日本の中の政府部門だけが、大きな財政
赤字を抱えて苦しんでいる、というのが今の日本の財政問題
である。
これを理解いただければ、一部の経済学者や評論家の言
っている円の大暴落が自然には起こりえないことが解ってい
ただけるだろう。
国債は紙くずになることはあっても、円は紙くずになることは
ない。
円紙幣は確かに政府の信頼に裏付けられ日銀が発行して
いる。その肝心の政府が実質破綻していればその価値に影
響があることは否定できない。
しかし、同時に円は日本全体の資産価値を反映したもの
である。
その意味で言えば、世界最大の純債権国である日本の資産
価値を反映する円は紙くずになるほど自然に下落すること
はありえないことは明白である。
日本の財政危機の解消は、日本社会や日本経済を破壊する
ことなく、如何に政府を破綻させ再構成するかという問題の答
えを求めることである。
例えば、仮に国債の返済を即中止すれば、政府の財政危機
は解消するが、同時に多額の国債を保有する銀行が破綻し、
結果的にその原資である預金の支払いは不可能になる。
その結果、多くの国民が資産を失い社会的混乱を招き、健
全だった日本国全体の経済・社会を破壊してしまう。
次回からは、日本社会の破壊を最小に止め、日本政府を再
構成させる方法について考察していこう。
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