陣をはっている。
大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸もそんな一人である。
日経ビジネスでの彼の主張を見てみよう。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120808/235426/?P=1
彼は過去の消費税増税が経済停滞を招いた原因であるとい
う意見を次のように否定する。
「消費税増税直後の1997年4〜6月は、消費が減少した。 し
かし、7月から9月にかけては、すでに引き上げ前と同じレベル
にまで、消費は回復している。海外の事例を見ても、消費税率引
き上げ後に一時的に経済は停滞するが、すぐに元に戻っている。」
さらにこう付け加える。「この頃に景気が悪化した主因は、まず、
山一證券の廃業や北海道拓殖銀行の経営破綻、そしてアジア
通貨危機という、日本経済を停滞させる2つの要因が、国内外
にあったことです。」
つまり、消費税増税とは関係ないと主張する。
しかし、このような悪環境の中で消費税増税を強行したことが、
その後の日本経済に致命的な悪影響を与えたことを無視して
いる。
アジア諸国は通貨危機後急回復をし発展したが、世界で唯一
日本だけが1997年当時の名目GDPに2007年までも達し
ていないという事実を無視している。(2000年基準統計)
また、今日に過去の増税時と同様の経済危機が存在するこ
とを認め、本当の危機を招く可能性を1割から2割と予想し
ながら、この影響を過小評価している。
過去の事例と同様に今後10年経済成長が無いことになれ
ば、完全に日本は世界の落ちこぼれになるが、そのリスクを
無視している。
増税を容認する根拠は例によって国債暴落のリスクである。
2015年には経常収支が赤字になるから今が増税の最後の
機会だというのが、主張の趣旨である。
経常収支が赤字になることは私も否定しない。しかし経常
収支と増税には何の関係も無い。増税してもしなくても経
常収支の赤字は変わらない。
増税することで財政収支が黒字化するなら、彼の主張にも
一利あるが、消費税増税しても年間の財政収支は30兆円
近く赤字であり、借金も減少しない。とすれば増税してもし
なくても国債は暴落する。むしろ増税しても財政改善しない
という方がマイナスのインパクトが強い。
経常収支を改善するのは経済成長であり、経済成長にと
って消費税増税はあきらかにマイナスである。
とすれば、いま増税しないと国が亡ぶという熊谷某の提
言は明らかに事実と異なる。
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