「下山の思想」が売上ランキング1位になり話題になっている。
永遠に続く登山というものはなく、私たちの時代はすでに下山に
さしかかっているという。この下山こそが登山のもっとも大事な局
面であると、書かれているらしい。
私はこの本を読んでいないし、読むつもりもないので、本の内容に
ついて評論するつもりはない。
ただ、本の紹介分を見ただけであるが、どうも気に食わない。
一時期、低成長時代の生き方、について書かれたたくさんの本が
出版された時期があったが、その時代に感じた不愉快さを思い出
した。
日本の高度成長が終わり、低成長が定着した時代、「日本はもう先
進国になったのだから、ヨーロッパのような低成長で成熟した社会
を目指すべき」という趣旨の書籍がヒットしていた。しかし、それから
日本は少しも良くなっていない。
先進国だからもう成長は期待できない、というあきらめだけが残り、
結果的に先進国である欧米の成長にも取り残され、今日の不満に
溢れた不幸な社会をもたらした。
日本の現状を下山にたとえ、それを肯定する姿勢にも同じような
うさんくささを感じる。
このまま下山して日本はどこに向かうのか、人口減の停滞社会を
継続し、世界から忘れ去られた国家になってしまうのか?
下山として今の日本の現状を肯定するのではなく、新たな方向転
換をこそ日本は選択すべきではないだろうか。
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