最近沈滞感漂うヨーロッパで見直されているらしい。
資本主義の発展につれ矛盾が拡大し、資本家と労
働者の階級対立が激化し、必然的に資本主義から
共産主義に移行する、としたマルクスの考えは、修
正資本主義の普及により、資本主義の発展につれ
労働者階級も豊かになっていったことから支持を失
い、ソ連の崩壊により止めを刺された。
しかし、アメリカ、ヨーロッパの金融資本がもたらした
最近の社会変化は遂に資本主義に対する人民の信
頼を失いつつある。
実際のところ、現在の世界資本主義は国民を一部の
金持ちと大多数の貧民に二極分化しつづけており、
先進国の修正資本主義を支えてきたホワイトカラー
の中産階級は絶滅種となりつつある。
【肥田美佐子のNYリポート】消えゆくアメリカンドリ
ーム―加速する“超格差”の実態によると
世界25カ国・地域の富豪世帯が所有する92.26兆ドルのうち38.6兆ドルを米国の大富豪が占めている。
米独立系調査報道ジャーナリスト兼作家のデービッド
・デグロウ氏は、上記38.6兆ドルを所有する米富裕
層が、全オフショア資金のうち6.3兆ドルを占めると、
指摘する。
米経済誌『フォーブス』(7月25日付電子版)によると、
米国の富豪トップ400人は、1995年の時点で、年収
の30%に相当する所得税を米国税庁(IRS)に納め
ていたが、今では平均18%にダウンしたという。
米会計検査院(GAO)によれば、米企業の3分
の2が、1998年から2005年にかけて連邦所
得税を納めていないという。タックスヘイブンへ
の資本移転や生産拠点の海外への移動など
のせいである。また、1955年に連邦政府の歳
入の27%以上を占めていた法人税は、昨年に
は9%以下に激減した。
つまり、金持ちはますます金持ちになるが、税金
は治めないようになっている。
一方で、中産階級は没落し以下のように貧困層が
増加し続けている。
米民間世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが
7月26日に発表した調査結果では、米国の全世帯
の2割に当たる約6200万人が、09年時点で、資産
ゼロか負債を抱えていることが明らかになった
(05年には15%)。
アメリカにおいてもヨーロlルパにおいても金持ちは税
金を納めず、没落しつつある中産階級が国家の財政
を支えている。世界中で国家財政が危機的状況に陥
っているのは当然のことである。
バラ色の資本主義は20世紀で終わりをつげた。21世
紀は再び資本主義と人民の新たな戦いの始まりと
なるだろう。
今のところ、戦いは世界資本主義の牙城であるアメリ
カではなく、弱い一角であるヨーロッパで火ぶたを切り
そうである。
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